Skip to main content

フランスの Film Washi 公式リセラーに — 和紙フィルムと特殊フィルムを国内販売

約6分で読めます

フランスの Film Washi 公式リセラーに — 和紙フィルムと特殊フィルムを国内販売

ネオアナログラボ株式会社は、フランスのフィルムメーカー Film Washi の公式リセラーになりました。Film Washi 公式サイトの取扱店一覧には、日本の取扱店として当社(Neo Analog Lab, Tokyo)が掲載されています。和紙に乳剤を手塗りしたフィルムや、産業用フィルムをカメラ用に加工した特殊フィルムを、当社オンラインショップ shop.neoanaloglab.com で販売します。

Film Washi はフィルムをすべて世界各地の取扱店を通じて販売しており、メーカーの直販はフランスで毎年開かれるビエーヴル国際写真フェアの会場に限られます。取扱店になれるのも、実店舗か自社のオンラインショップを持つ販売店だけです(同社 FAQ)。国内で正規品を手に入れる窓口が、これで一つ増えます。

ひとりで営む「世界最小のフィルム会社」

Film Washi は、2013年に Lomig Perrotin(ロミグ・ペロタン)氏が創業しました。パリの自宅アパートのクローゼットで始まり、サン=ナゼールにある家族のガレージを経て、現在はブルターニュ地方で、払い下げのフランス陸軍のコンテナを工房にしています。事業が育った今も製造は Perrotin 氏ひとりで行っており、同社は自らを「世界最小のフィルム会社」と称しています。会社紹介

製造に使う道具の多くは、リサイクル部品から作ったものです。120 の巻き取り機、135 パトローネの装填機、暗闇で作業するための赤外線ゴーグルもその一つです。135 フィルムはリサイクルのパトローネに、120 フィルムは再利用の裏紙とともに巻かれています。創業以来の販売本数は17万本を超えます。それでも同社は大手メーカーと競うつもりはなく、大手を補い、アナログ写真に別の楽しみ方を加えることを目指しているといいます。

  • 会社名: FILM WASHI EURL
  • 所在地: フランス・ブルターニュ地方(Josselin)
  • 創業 / 創業者: 2013年 / Lomig Perrotin
  • 主な事業: 手塗りフィルム・印画紙の製造、産業用フィルムの写真用フォーマットへの加工、特注加工
  • 公式サイト: filmwashi.com

和紙に、一本ずつ手で塗る

Film Washi の出発点は、日本の和紙に白黒の乳剤を手塗りしたフィルム「W」です。ベースは Moriki Paper の土佐和紙(楮、28g/m²)。紙の繊維がそのままネガに写り込み、フィルムのベースそのものが画の一部になります。

着想の元は、1841年に Henry Fox Talbot が発表したカロタイプの紙ネガと、1884年ごろの Eastman の紙ベースのロールフィルムです。20世紀初頭のピクトリアリスム(絵画主義写真)を思わせるグラフィックな効果を、ネガの上で直接得ることを狙っています。乳剤は一本ずつ手で塗られるため、わずかなムラや偶然の痕跡が生まれます。メーカーはそれも製品の表現の一部だとしています。

その後、同じ楮和紙に ISO 100 のパンクロマチック乳剤を塗った「Y」が加わりました。メーカーが「W 2.0」と呼ぶ改良版で、W より露出を決めやすく、さまざまな被写体に使えます。2025年には、徳島のアワガミファクトリーが手漉きした 110g/m² の竹紙に乳剤を塗った白黒印画紙「B」も発表しています。

日本でつくられた和紙が、フランスの工房でフィルムや印画紙になり、日本に戻ってくる。そういう製品を国内のお客様に届けられることを、うれしく思っています。

写真用ではなかったフィルムを、カメラで使えるように

もう一つの柱が、同社が「スペシャリティフィルム」と呼ぶ製品群です。医療や工業用のX線フィルム、航空測量用のフィルム、プリント基板の製版用フィルムなど、他社の工場で技術用途向けに塗布されたフィルムを、Film Washi が 135・120・シートフィルムに裁断・加工し、一般的なカメラで使えるようにしています。スペシャリティフィルム

もともと写真用に設計されていないため、ハレーション防止層がない、緑に感光しないといった、一般的なフィルムにはない性質がそのまま描写に表れます。

当社で取り扱う製品

和紙フィルム(手塗り)

  • W(ISO 25 / 120・4x5): 楮和紙ベースのオルソクロマチックフィルム。紙の繊維が写り込む強いテクスチャーと、硬調な描写が特徴です。
  • Y(ISO 100 / 120): 同じ楮和紙ベースのパンクロマチックフィルム。W の改良版で軟調、±2段の増減感に対応します。

スペシャリティフィルム

  • F(ISO 100 / 135・120・135 長尺 30.5m): 肺の集団検診に使われる医療用X線フィルム。ハレーション防止層がなく、光がにじみます。
  • Z(ISO 400 / 135・135 長尺 30.5m・レンズ付きフィルム): 近赤外まで感光する航空測量用フィルム。植生の描き分けが得意で、赤フィルターを使うと赤外効果が強まります。
  • K(ISO 100 / 120・4x5): 2000年に期限を迎えた Kodak Plus-X Aerographic 2402。粒状は細かく、元のパーフォレーションが画面に写り込みます。
  • E(ISO 3 / 120・4x5): プリント基板の製版用フィルム。緑に感光せず、印画紙と同じ要領で現像します。
  • X(ISO 100 / 135): オレンジマスクのないカラーフィルム。暖色で彩度が高く、C-41・E-6 のどちらでも現像できます。

印画紙・アクセサリー

  • B(8.9×12.7cm・12.7×17.8cm、3号): アワガミファクトリーの竹紙に乳剤を塗った白黒印画紙。
  • 120 プロセッシングリーダー: 紙ベースの W・Y を一般的な現像リールで処理するための、感光層のないリーダー。

各製品名から、当社ショップの商品ページを開けます。在庫状況は商品ページでご確認ください。フィルムの商品ページには作例も掲載しています。

ご購入・ご使用の前に

Film Washi のフィルムには、一般的な市販フィルムと扱いが異なる点があります。メーカーのデータシートと FAQ から、主な注意点をまとめました。

  • 135 はリサイクルのパトローネ入り: DXコードがなく、メーカーは全自動・電動巻き上げのカメラでの使用を推奨していません。手動巻き上げのカメラで、感度を手動で設定してお使いください。
  • 装填は日陰で: F(135)と Z は日陰で装填し、F は6コマ、Z は3コマの空写しをしてから撮影を始めるよう指示されています。Z の場合は、透明なベースが光を導いてしまう(ライトパイピング)のを防ぐためです。
  • 120 は手巻き: ごく一部の繊細なカメラでは扱いにくい場合があります。巻き上げレバーは無理に回さず、撮り終えたフィルムはゴムバンドやテープで留めてください。
  • W・Y は紙ベース: 薄く柔らかいため、そのままでは現代の現像リールに装填できません。プロセッシングリーダーと一緒に巻き込むか、W はセーフライト下で印画紙用現像液によるバット現像で処理します。酸性の停止浴は使わずに水で代用し、定着は10〜12分以上、水洗は25分以上(5分ごとに水を交換)が目安です。乾燥後は強くカールするので、巻き戻して12時間ほど置くと平らに戻ります。
  • セーフライト: W と F は赤のセーフライトが使えます。Y・Z・K は完全暗黒で扱ってください。E は赤に感光するため、緑(500nm)のセーフライトを使うか、完全暗黒で扱います。
  • 現像データ: 現像液ごとの時間は各製品のデータシートに載っています。記載のない現像液を使う場合、F と Y は Ilford FP4、Z は Ilford Delta 400 の時間と希釈を目安にできます。
  • 現像の依頼: Film Washi は現像サービスを行っていません。多くのフィルムは一般的なラボで処理できますが、W・Y のように特別な扱いが必要なものは、自分で現像するか、事前にラボへ対応できるか確認するようメーカーは案内しています。当社のフィルム現像サービスへのご依頼をお考えの場合も、事前にご相談ください。

製品に不具合が疑われる場合は、当社までご連絡ください。メーカーは、製造上の不具合が確認されたフィルムを新品と交換するとしています。

取り扱い製品や使い方についてのご質問は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。