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フィルムスキャン用ストロボライトボックス「NeoBox」が完成 — 3D プリントで作れるオープンハードウェアとして GitHub で公開

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フィルムスキャン用ストロボライトボックス「NeoBox」が完成 — 3D プリントで作れるオープンハードウェアとして GitHub で公開

ネオアナログラボ株式会社は、135 判・120 判フィルムをデジタルカメラでスキャンするためのストロボライトボックス「NeoBox」の開発を完了し、3D プリントで製作できるオープンハードウェアとして GitHub で公開しました。STL 12 点、Blender のソースデータ、図面、そして日本語・英語・简体中文のドキュメント一式を、MIT ライセンスで提供します。

NeoBox とは

NeoBox は、前面が完全に開いた白い箱です。机に寝かせたクリップオンストロボ 1 灯の光を箱の中で何度も拡散反射させ、乳白アクリルの拡散板 1 枚を通して、フィルムの下に均一に光る面をつくります。その上にフィルムホルダーを載せ、真上からデジタルカメラとマクロレンズで撮影する。スキャナーの代わりにカメラでフィルムをデジタル化する「カメラスキャン」の光源が、NeoBox の役割です。

本体は約 125 × 155 × 83 mm、プリント部品 12 点(うち 4 点はオプション)で約 300–350 g。ねじもねじ切りも接着剤も使わず、マグネットと重力だけで組み立てます。最大の部品でも長さ 154.8 mm なので、160 × 160 mm のビルドプレートがあれば全部品を出力でき、全点サポート不要です。

  • 対応フォーマット: 135 判と 120 判(最大 6×9)。6×6 はマスクインサート、マウント済みの 135 スライドはオプションのスライドプレート、4×5 のシートフィルムはオプションの 4×5 ステージで対応します。
  • プリント部品: STL 12 点(白 3 点・黒 9 点)、PLA 約 300–350 g。
  • 購入部品: 乳白アクリル拡散板 1 枚(68 × 118 × 2 mm)、Ø8 × 2 mm のマグネット 32 個、スチールワッシャー 4 枚。オプションでアンチニュートンガラス 1 枚と植毛シート。
  • 光源: マニュアルで発光量を調整できるホットシューストロボなら何でも使えます。
  • ライセンス: MIT。

なぜ LED ではなくストロボなのか

NeoBox の光路図。ストロボが白い拡散チャンバーへ水平に発光し、何度かの拡散反射を経て、フィルム下の乳白アクリル拡散板から均一な光が出る。カメラは真上からフィルムを撮影する
ストロボはフィルムに向けず、箱の中へ横向きに発光します。光がフィルムに届くのは、何度かの拡散反射と拡散板 1 枚を経たあとだけです。

NeoBox の光源は、連続光の LED パネルではなくストロボです。理由は 3 つあります。

  • 振動が問題にならない: 露光を決めるのはストロボの閃光そのもので、実用出力での発光時間は 1/1,000〜1/20,000 秒です。カメラのシャッターは通常の同調速度(1/125 秒)のままで構いません。連続光の LED で必要になる 1/15〜1/60 秒の実シャッターと比べて 1〜3 桁短いため、複写スタンドのたわみもシャッターショックも床の振動も、写りに影響しません。
  • フィルムに向いたスペクトル: キセノン管の発光は約 5600 K の連続スペクトルで、演色性は昼光級(CRI 95 以上が一般的)、LED が苦手とする深い赤も十分に含みます。カラーネガのシアン層とオレンジマスクはどちらもスペクトルの赤端で働くため、白色 LED に特有の 480 nm 付近の谷や 630 nm 以降の落ち込みは、反転後に抜けない色かぶりとなって現れます。
  • 1 本を通して同じ光: マニュアルストロボは固定出力で毎回同じ光を出すので、1 本のフィルムに反転プロファイルは 1 つで足ります。ウォームアップによるドリフトも、PWM 調光による縞もありません。

同じ考え方には商用機の先例があります。リコーの PENTAX FILM DUPLICATOR は、デジタルカメラとマクロレンズに、拡散スクリーン越しに発光する外部ストロボを組み合わせた構成です。NeoBox はこの光学レシピを、自宅のプリンターで作れる箱にしたものです。

公開しているもの

GitHub のリポジトリには、製作に必要なものをすべて収めています。

  • STL 12 点: 白 3 点(本体、天板ステージ、4×5 用天板ステージ)と黒 9 点(135・120 用フィルムホルダー 4 点、押さえ窓インサート 2 点、6×6 マスク、135 スライドプレート、4×5 シートプレート)。
  • Blender ソース: 全部品の形状を定める cad/neobox.blend と、そこから STL を再生成する書き出しスクリプト、水密性と寸法を検査する検証スクリプト。
  • 図面 18 点: 光路図、断面図、分解図、印刷姿勢、撮影セットアップ、製造総図を、日本語・英語・简体中文で。
  • ドキュメント 10 種: 「はじめに」から部品表と調達、3D プリント、組立、スキャン、トラブルシューティング、用語集、設計、設計ログまでを 3 言語で(コントリビューションガイドは英語のみ)。部品の発注にそのまま使える発注文面も含みます。

ライセンスは MIT です。製作も、改変も、作ったものの販売も、当社の許諾なく行えます。

自分で用意するもの

NeoBox はスキャン装置の「光源の半分」です。ライトテーブルを置き換えるものであって、その上に構えるカメラは置き換えません。製作にあたっては、次のものを別途ご用意ください。

  • マニュアル露出と RAW 記録ができるデジタルカメラ(ミラーレスまたは一眼レフ)
  • 等倍(1:1)撮影ができるマクロレンズ。1 本あれば本プロジェクトの全フォーマットに対応できます
  • 箱の真上にカメラを固定できる複写スタンド、または水平・反転可能なセンターポールを備えた三脚
  • マニュアル発光量調整ができるホットシューストロボと、無線トリガーのセット(作例は NEEWER TT560 と ZENIKO T1)
  • レリーズと、ネガを反転するソフトウェア。反転には、当社が無料で公開している Mac アプリ Negative Converter もお使いいただけます

現在のステータス

今回の公開は、v1 ジオメトリの初回リリースです。何が確かめられていて、何がまだなのかを明記しておきます。

  • ソフトウェア上で検証済み: STL 12 点はすべて水密な単一ソリッドで、印刷姿勢における水平面は 0.2 mm の積層グリッドに乗り、バウンディングボックスは公開寸法と一致します。
  • 実物で検証済み: 当社ではこの形状を出力し、135 と 120 のフィルムのスキャンに使っています。設計者の知人も、自身のストロボとフィルムで試しています。6×6 マスク、スライドプレート、4×5 ステージも出力して使用済みです。
  • まだ計測していないこと: ドキュメント中の光の均一性と平面保持の数値は、CAD から導いた設計目標であって、計測器による実測値ではありません。目視でも反転後でもムラは見えていませんが、フラットフィールドの数値はまだまとめていません。

製作された方は、お使いのプリンターできつかった箇所・緩かった箇所・ムラの出た箇所を、GitHub の Issue やお問い合わせフォームからお知らせください。今後の改良の参考にします。

自分で作る時間がない方へ

当社では、ソニー α7R V を使ったフィルムスキャンサービスを郵送で承っています。詳細はフィルムスキャンのサービスページをご覧ください。

よくある質問

3D プリンターを持っていなくても作れますか?

はい。すべての部品は 160 × 160 mm のビルドプレートで出力でき、サポートも不要なので、プリント代行サービスに依頼できます。ドキュメントには、プリント代行や部品の購入にそのまま使える発注文面を用意しています。

どのストロボが使えますか?

マニュアルで発光量を調整できるホットシューストロボなら、メーカーや機種を問いません。ストロボは机に寝かせて箱の前面開口に向けるだけで、箱の寸法はストロボに依存しません。TTL や HSS の機能は不要です。

完成品やキットを購入できますか?

NeoBox は設計データとドキュメントの公開であり、当社は完成品やキットを販売していません。MIT ライセンスのため、ご自身で製作するほか、第三者が製作・販売することもできます。

リポジトリ: github.com/Neoanaloglab/Neobox(日本語 README)